専門職のお話

そのことだけを長くやっていると、失敗その他の経験からやり方の要領やこういう使い方があるかしらと応用できる事への気づきなどが蓄積されるものです。装置が完璧でマニュアル通りにすれば良い結果が得られることは勿論ですが、実際はいろいろな局面があるもので・・・・この局面について・・再現性のない局面について対応できるのが専門職。依頼者はこうやれああやれと指示を出さないで、まずは相談されて欲しいです!と言いたいのですが、何年たってもわからない思いを抱えているのも事実なので、実験をして一生懸命確かめることに努めています!

分析サンプルの乾燥についてのお話

古来元素分析用サンプルは前処理として十分な乾燥を必要としています。乾燥方法は、講座開設の古いところでは伝統的な方法で行われていると思われますが、最近、真空乾燥や減圧真空乾燥で行っているところもあるようです。Wikipediaで調べてみると、真空乾燥は本当に内部の水分を飛ばしているか疑問ありました。また凍結乾燥は依頼者に室温に戻すときに十分な乾燥外気中でするようにお願いしています。問題にしているのは数μgー数10μgの水分で許容誤差に関わることになるからなのです。

吸湿性のこと

吸湿性のサンプルは超微量天秤では質量が増加していきます。天秤の液晶画面に表示される数字が大きい方へ変化します。その変化のスピードで吸湿性の強度がわかります。弱い場合は天秤の判定条件に収まって秤量値が印字されることもありますが、アルミボートを封じて読み取りを安定にして秤量しています。依頼されるサンプルに吸湿性と記載されているものがありましたが、天秤上では軽くなっていきました。溶媒が残っているのかもしれません。こういう個々のサンプルの性状に元素分析は依存しているので、合わない場合、分析精度が悪いのかと思わないようにお願いします。

微量分析と超微量分析

微量分析はmg量を燃焼して含有量を求める方法で、超微量分析は1mg以下の量で元素分析を行うものです。ア・ラビット・サイエンス社は超微量分析を専門として起業しました。しかし、元素分析はmgでの測定が定着しているため、ご利用される研究者にはこだわりがあるようです。元素分析方法はTCD検出器を用いるのがほとんどですが、この検出器はmgより超微量(1mg以下)の方が正しい検出をします。開発当時は試料を超微量で正確に測れる天秤がありませんでした。そこで微量量でも精度よく分析する原理を考えたのがパーキン製とヤナコ製(現在はジェイサイエンス製)なのです。しかし超微量天秤の発達と分析装置の電気的な進歩があり、超微量分析が可能になりました。実際、多くのサンプルを分析して、超微量の方が安定して良い精度が出ているのです。

ひょう量レスで分子式が求まるのお話

CHNOで構成される化合物は、元素分析値より計算をして分子式が求められる。分子式は試料を量らなくても試料を適量燃焼させれば、CHN元素の比が正しく求まる。つまり、分子式は秤量レスで求まる。多少の夾雑物があっても、成分比は変わらないので、元素分析が合わなくても正しい分子式は得ることが出来るのです。

化学と真実

中世では世の中の人が信じていることを「違う」といえば罪人にされた。地動説を唱えて罪人になったガリレオは物が落下するスピードは質量に関係しないと2つのボールで証明した。先日のお話と同じイントロであるが・・化学の世界では実験によって真実を証明する。物事の原理を正しく認識し、正しい使い方をしなければ間違った結果で害がおこる。今の時代、違うと言って罪人にされることはないが、実験で得た結果を正しいと証明することもなかなか難しい・・。

天びん不用の元素分析のお話

今時の元素分析計はCHN同時に求まりますので元素比は正確です。しかし含有%で報告することが求められるため重さにかかわる誤差を含んで合わないということが起こります。わずかに含まれる水分や金属の夾雑がある場合など重さをずらしてやるとピッタリ合います。元素比が理論値と合致するかどうか判別の計算式を考えました。精密質量分析の解析はわずかに含まれる水分や金属の夾雑がある場合でOKなので、元素分析でもこの方法もありと・・・主張したいところですが。そうすれば天秤なしで構造解析できるのです。

ウルトラテクニックのお話

元素分析で一番の緊張はひょう量作業です。ある時、いつものように慎重に行ってサンプルチューブ内の試料をスパーテルでかきとってゆっくり引き出した瞬間、試料が見えなくなりました!ふわっと空中に浮いているのです。それしかないサンプルでしたので・・慌てて、燃焼ボートを近づけ試料の落ちるスピードに合わせてゆっくりキャッチしました。テニスではボールを打つとき、叩いてはいけないと教わりました。フォロースルーです。ゴルフもパターでコツンとするよりフォロースルーが入る確率高いようです。技術は丁寧にマニュアルにすれば良いのですが、偶然の出来事が結構あるものでマニュアル以前の問題点は個人の偶然の経験でしょう。AI ロボットに出来るだろうか(笑)

 

重さに関わる誤差のおはなし

今時の元素分析計はCHN同時に求まりますので元素比は正確です。しかし含有%で報告することが求められるため重さにかかわる誤差を含んで合わないということが起こります。わずかに含まれる水分や金属の夾雑がある場合など重さをずらしてやるとピッタリ合います。元素比が理論値と合致するかどうか判別の計算式を考えました。
構造決定の元素分析は元素の組成比を知りたいことと思います。精密質量分析の場合はわずかに含まれる水分や金属の夾雑がある場合でもOKなので、この方法もありと・・・主張したいところですが。

超微量てんびんによる秤量のお話

元素分析は試料を量って、燃焼し、含まれるCHN元素を定量します。天秤上で安定しているものは問題ありませんが、時に不安定な試料があります。酸化されやすいもの、吸湿するもの、分解するもの等です。その変化のスピードがゆっくりな場合はミクロ天秤では測れます。ウルトラミクロ天秤では、その変化をしっかりとらえるために秤量値を決定できません。本日の試料は弊社はウルトラ天秤を使用しているため、始め、計量できませんでした。しかし、サンプル量を1mg以下にするとあるところで安定し表示されました。変化のスピードが天秤の条件範囲内に入ったためです。しかし瞬間で、また条件が外れると測れませんので、試料はアルミ箔ボートに測りすぐに閉じて天秤に載せています。ミクロ天秤ではこのあたりのことを気がつかないでしまうことになり、危険と思います。