”実験データ”の元素分析
構造決定の”実験データ”となる元素分析値は初めはなかなか合わない方が多いのですが、勿論ぴったり合うこともあります。
卒業を控えた学生さんが丁寧に精製したサンプルを初めて分析依頼した場合、理論値にぴったり合えばうれしいようです。・・・夜分申し訳ありませんが、データを利用させていただくことになりましたとメールを頂いた学生さん・・・・有機合成化学の入り口を自信を持って通り抜けたようで、うまくいった”実験データ”を共感できたこちらも「うれしい」です。
良く管理された分析装置で標準試料が合うのはあたりまえでも新規化合物は条件が未知・・・”実験データ”は結果の真実なので・・・大事な実経験をできる元素分析をどうぞご利用ください。
感謝:また謝辞の掲載いただきました
大阪工業大学工学部応用化学科 准教授 下村 修 先生より以下の論文へ謝辞の掲載をしてくださった御連絡がありました。このようなお知らせを頂くのは何よりの励みです。世界中の研究者へ, ア・ラビット・サイエンスの活動を広めていただければ嬉しいと思います!
“Journal of Molecular Catalysis A: Chemical 411 (2016) 230–238”
DABCO- and DBU-intercalated -zirconium phosphate as latent thermal catalysts in the copolymerization of glycidyl phenyl ether (GPE) and hexahydro-4-methylphthalic anhydride (MHHPA)
Acknowledgments
This work was performed under the ・・・・・・・・・・ We wish to thank A Rabbit Science Japan Co. Ltd.,for CHN elemental analyses. ・・・・・・・・・
実験証明のデータと計測の証明の違い
学会発表をするためにその証明の実験データが必要ですが、元素分析データは研究者が行うことはあまりありません。研究者は精いっぱい精製に努める方法しかなく、分析者に依存しなければなりません。一方、計測データはいろいろな分野でその方法の手段の取り決めがあり、忠実に従って出したデータは信頼を得ることができます。計測データと実験証明の機器データは違うものです。実験証明のデータは分析技術者の判定の力が入ります。サンプルの純度、性質、分析装置の状態などいろいろありますが時に直観力もかかわります。これは理論値に合わないだろう、これが合わないのはおかしいと思うなどいろいろな判断感情が入るものです。毎回そのサンプルと一期一会の出会いなので、その向こうに研究者の気配を感じています。計測の証明との違いは、もっと科学的なことですが、分析者の生身の心情も伝えたいと思うことがあります。
0.5mg,0.2mg,0.1mg,0.05mg分銅の出現!
ウルトラミクロ天秤の1mg以下の検量が正しく行われるかどうか、超微量分析を専門としている手前、追及したことがある。1mg以上の領域については校正証明書があり、特定標準器としてトレーサビリティが確保されているが1㎎未満は天秤の検量がゆがんでいるかもしれないから自分で確かめてみようと1mgのアルミ箔を3つに切ってそれぞれ量り、3つ一緒に量ったものと一致するかを調べたわけである。はなはだ原始的ではあったが納得できる結果であった。例えば0.5mgで分析をしているとしたら、天秤の正確さは重要である。先日愛媛大学で行われた日本分析化学会元素分析研究懇談会との合同の計測自動制御学会力学量計測部会においてメトラ・ートレド社によりマイクログラム分銅の発表があった。風で飛ばないように専用チャンバー(風防)やフックアルミハンドリングツール(つまむ道具)とセットで開発されていた。分銅の形といい、海外のメーカーはなぜかスマートで完璧である!2年間の経年変化は最大で0.05μgとのこと、この精度は
どうやって調べたのかしらん・・・。ウルトラミクロ天秤の精度では計れないでしょう・・。
CNT(カーボンナノチューブ)の低温燃焼元素分析について
CNT(カーボンナノチューブ)は殆ど燃えにくい炭素の塊であるように思っておりました。少し前に、初めてCNT(カーボンナノチューブ)の元素分析を経験しまして、500℃の低温でかなりの量の炭素を検出したので驚きました。2月4日にパシフィコ横浜でテクニカルショウヨコハマが開催されたので展示場を歩き回っておりましたら、某大学のカーボンナノシートが目に留まりました。メタンと水素から合成されるそうで出来上がったものは炭素で出来ていると説明されました。その純度の評価はどのように行うのか、大手分析機器メーカーのHPには以下の資料が載っています。
CNT(カーボンナノチューブ)の評価機器一覧・・以下
http://www.sse-shimadzu.co.jp/work/sol09.html
当社は低温での燃焼効率を改善した充填物の使用により酸素と燃焼温度をコントロールした条件での炭素の含有量を調べています。通常はグラファイトを100%検出する条件で行っています。ぜひ、CNT(カーボンナノチューブ)評価機器に利用されてみてださい。低温で検出の炭素と高温で検出の炭素の割合がわかります。
再び測定データの論文掲載のお知らせ
アラビットサイエンス社の測定データが論文に掲載され、謝辞を載せてくださったお知らせをまた、頂きました。事業活動が世界に広がっていくことが夢ですので本当にうれしく思います。どうもありがとうございます。
W. Hakamata et al. / Bioorg. Med. Chem. 23 (2015) 73–79
Acknowledgments
The authors wish to express their sincere thsnks to ・・・・・・・
and Mrs.A.Sato of A-Rabbit-Science Japan Co.,Ltd for perfoming the elemental analysis.
植物サンプルの試料前処理のこと
植物試料の分析依頼があるときは、「よく乾燥して十分粉状にすりつぶしてください」と伝えます。細かくしてくださいとしても理解されないことがあるので、粉状にと表現するわけです。どうしても分析値にばらつきが出ますので、不均一な試料はn=2~3回の依頼になります。元素分析用にほんの少しの量を粉状にできるミルがあるといいと思っておりましたら・・・・ありました! 卓上ミキサーミルMM400(ドイツ、レッチェ社) 粉砕ジャーの容量は1.5mL~50mL。数分で100μmまで粉砕され均質な試料に変わるのです。粉砕ジャー=ステンレス製50mL、粉砕ボール=ステンレφ25mm
のものから金属が使用できない場合はメノウ、PTFE製もあるとのこと。到達粒度5μm。これで前処理すればあらゆるものが超微量元素分析の対象サンプルになります。
天秤の発達―超微量天秤
元素分析(有機)は質量をはかりその中の元素の含有率を求めるものであるから、分析装置と天びんは縁が切れない。元素分析の進歩は第一に天びんの発達によるのですが、元素分析データを載せた論文には元素分析計の名前は出ることがあっても天びんのことは出ない。当社使用の超微量天秤について、最高の精度を極めるための取り扱い技術について紹介する機会を頂いたことがあった。0.1μgまで表示される、この世で最高の質量を計れるものとしてギネスブックにも載った天びんである。扱いが悪ければ究極の精度は出ない。最高の技術の取り扱い方、設置の環境、条件、など実験データを示して詳しく記述した。一般書店では置かないとのことなので、紹介します。
(超)微量成分・微小試料分析技術 (第2節です)
発行所 株式会社 技術情報協会 企画担当 田崎裕人
定価 95000.-(アカデミック価格 30000.-)
http://www.gijutu.co.jp/doc/b_1752.htm
元素分析早業の技術
元素分析は化学の知識に依存するが、手を使う仕事である。全自動分析計であるので、よほど器用でないとできないというほどのことはない。そう思っているが、時に試料が大気中不安定でヘリウムやアルゴンを封入して出されることがある。サンプルを量って炉に投入することの繰り返しが業務であるが、不安定サンプルは急いで量らなければならない。粉状、塊、フレーク状・・・すぐに色が変わるものなどさまざまな試料を瞬時に量り、炉に投入する。分析装置の進行具合を計算しながら直前に量る。天秤の安定化ランプの点灯を待ってはいられない。2秒以内に量る。このような試料が20件あれば5時間近く、分タイムのスケジュールを休まず続ける。分析結果は安定して良かった。ほっとするが、元素分析にはこのような早業と我慢の技術がある。これは一朝一夕にはできないと思っています。
存在しないことの探求
科学の世界では存在するかしないかも研究の対象となる。「無の科学」という新刊案内に”To be or not tobe,that is the question”というシェークスピアのセリフの紹介があった。実は元素分析においてもこのような質問があるのです。Nはあるかないのかと。元素分析は検量線によりその量を決定しますが、検量線の数式は y=ax や y=ax+b といっても計量のゼロに関する「真値」はありません。そこでゼロ付近の値と1mg位の標準試料を分析して理論値分を差し引いた値とを数個で比較したところ・・・ゼロ付近はすこし浮動があることが示されました。これも学問と思いますが・・・・重箱の隅をつつくようなといわれたりもします。元素分析は存在するものを正確に量ることですから。検出限界の計量における定義もありますが、それでもなお真値は”あるのかないのか” 解決しません。
