アスピリンとアンチピリン

先日“アスピリン”のことがバイエルホールディング株式会社の新聞広告に載っておりました。1969年人類初の月面着陸したアポロ11号の宇宙飛行士たちの筋肉痛や頭痛を和らげ、ノーベル賞作家トーマスマンなど多くの文豪の作品にも登場する“アスピリン”、世界で始めて人工的に合成された医薬品ということで1899年に命名され世に出たと解説ありました。

さて、元素分析は標準試料を用いて分析装置の検量線を引き、未知試料を測定しますがなぜかアセタニリド,ファエナセチン,アンチピリンなどの解熱剤が使われます。元素分析用標準試料としてキシダ化学 http://www.kishida.co.jp/ から販売されております。弊社ではアンチピリンを通常使っております。巷ではアンチピリンがピリン系でアスピリンは非ピリン系は何か可笑しいなど言われますが、元素分析の場合アスピリンはCHO化合物でアンチピリンはCHNO化合物なのでCHN同時測定には後者が当然必要です。

1899年にはまだ元素分析の微量測定が確立されていない時代でしたので、純度を調べるには相当な苦労があったことでしょう。112年後の現在、弊社では0.5mgで新規合成化合物の組成を確認することができます。また数μグラムのC,H,N元素の定量が可能になりました。研究者の皆様のご利用をお待ちしております。