質量に依存する測定器・元素分析の将来は?

先ごろ、新聞にキログラム原器は将来廃止と載っていました。1889年メートル条約に基づいて原器が作られ、パリの国際度量衡局に厳重に保管されているものです。高精度の測定が必要な先端科学の世界でより正確で安定的な定義が求められたとあります。このあたりは元素分析の天秤に直結するお話です。天びんはこのキログラム原器からトレースされて1mgの分銅まで質量を確立しています。今回、国際度量衡総会で新しい定義の切り替えが決議されたのですが、その背景は原子の数を高精度に数える方法など物理・化学の基礎的な普遍定数に基づく定義が技術的に可能になってきたためとありました。HRMSの出現で元素分析の利用が減ったことなど分析現場で実感しているのですが、このニュースは元素分析の新しい利用の始まりになるかもしれないとも思います。実は元素分析計のTCD検出器の出力信号からCHN各成分の比を直接求める手法があります。これはサンプルを秤量せずにCHNの各比を求められる方法で分子量がわかれば組成式が得られるのです。手軽に構造を知る方法として活用されると良いのですが。